3. セキュリティ(SSE)

【SSEとは】概要と注目される背景

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そもそもSSEとは?

SSE(Security Service Edge)とは、一言で言えば「これまで社内にバラバラに置いていたセキュリティ機能を、すべてクラウド上に集約して一元提供する仕組み」のことです。

主な構成要素として、以下の3つのコア機能が挙げられます。

  • SWG(Secure Web Gateway):WEBアクセスを保護するクラウドプロキシ
  • CASB(Cloud Access Security Broker):SaaSの利用状況を可視化・制御する仕組み
  • ZTNA(Zero Trust Network Access):安全なリモートアクセスを提供する仕組み

SSEの起点:オンプレ設備の「クラウド化」の歴史

SSEは、全く新しい技術がゼロから生まれたわけではありません。その本質は、「これまで私たちがデータセンター(DC)や本社に苦労して構築・運用してきたオンプレミス設備が、そのままクラウドへ進化した(Shift to Cloud)」という点にあります。

クラウドプロキシ(SWG)は、オンプレプロキシの後継者

かつて、企業のWEBアクセス制御の主役は、社内に設置された「Blue Coat」や「i-FILTER」といったオンプレミスのプロキシサーバーでした。社員は必ずこのプロキシを経由してインターネットへアクセスし、URLフィルタリングやウイルススキャンを受けていました。

SSEに含まれる「SWG(クラウドプロキシ)」は、まさにこのオンプレプロキシの正統な後継者です。機能はそのままに、ステージをクラウド上に移すことで、社内に重厚なサーバーを維持管理する手間から私たちを解放してくれました。

ファイアウォールもクラウドへ(FWaaS)

プロキシだけでなく、社内ネットワークの境界線を守っていたUTMや次世代ファイアウォール(NGFW)などの物理アプライアンスも、今やクラウドへ移行しています。これがFWaaS(Firewall as a Service)です。拠点ごとに高価な物理筐体を設置しなくても、クラウド上で同等(あるいはそれ以上)の強力なインバウンド/アウトバウンドの防御が可能になりました。

クラウドの「見えない利用」を可視化・制御する「CASB」

SaaSの普及に伴って生まれた、SSEの重要なコンポーネントがCASB(Cloud Access Security Broker)です。

オンプレミス時代も、社内のプロキシログをバッチ処理で解析し、社員が怪しい外部のオンラインストレージなどを勝手に使っていないか(シャドーIT)を「後からレポートで確認する」というセキュリティ対策が行われていました。しかし、これではリアルタイムの漏洩は防げません。

CASBは、このログ解析・利用制限の仕組みをクラウド上でリアルタイムに実行する仕組みです。「会社が許可したBox(企業アカウント)へのアクセスはOKだが、個人のGoogleドライブへのデータアップロードはブロックする」といった、SaaS特有の高度な制御をクラウドの境界線上で瞬時に判断して実行してくれます。

レガシーVPNの限界を突破した「ZTNA」(New)

他のセキュリティ機能とは少し毛色が違いますが、SSEにおいて極めて重要な役割を持つのがZTNA(Zero Trust Network Access)です。

FWaaSやSWGが「インターネット(外側)へ出ていく通信を守る」のに対し、ZTNAは「社内システムやプライベートクラウド(内側)へ安全にアクセスさせる」ための機能です。

オンプレミス時代、リモートワークの足回りを支えていたのは「SSL-VPNゲートウェイ」などの物理アプライアンスでした。しかし、全社員が一斉にVPNに接続すると帯域が逼迫し、機器がボトルネックになる問題が発生していました。また、「一度VPNを通過すれば、社内ネットワークのどこにでもアクセスできてしまう(境界防御の弱点)」というセキュリティリスクも抱えていました。

ZTNAは、このレガシーVPNのクラウド後継と言えます。ユーザーは物理的なVPN装置を経由することなく、クラウド上のSSEの認証基盤を介して、許可された特定のアプリケーションだけに「ピンポイント」で安全にアクセスできます。まさにゼロトラストの思想を体現した、新しい時代の接続プロトコルです。

なぜ今、SSEが必要なのか?注目される背景

オンプレミスからクラウドセキュリティ(SSE)への移行が急加速している背景には、企業を取り巻く「IT環境の変化」と「セキュリティ脅威の高まり」という2つの大きな波があります。

境界防御(社内=安全)の崩壊とハイブリッドワークの普及

従来のセキュリティは、「社内ネットワークは安全」「インターネットは危険」という前提のもと、その境界線(本社やDC)にオンプレミス機器を並べる「境界防御」スタイルでした。

しかし、コロナ禍以降、リモートワークやハイブリッドワークが当たり前になり、社員はどこからでも業務を行うようになりました。「守るべき社員(端末)」が境界線の外側に飛び出してしまったため、従来のオンプレミス機器では通信を補足しきれず、セキュリティの「目」が届かなくなってしまったのです。

SaaSシフトによる通信量・暗号化通信の爆発的増加

Microsoft 365、Salesforce、BoxなどのSaaS利用が爆発的に増えたことで、ネットワークのトラフィックは劇的に変化しました。

さらに、現在のWEB通信のほとんどは暗号化(SSL/TLS通信)されています。オンプレミスのプロキシやファイアウォールでこれらをすべて「一度復号して中身をスキャンする(SSLインスペクション)」という処理を行うと、機器のCPUやメモリの負荷が限界に達し、ネットワーク全体の深刻な遅延を引き起こす原因になります。

SaaSの膨大な暗号化通信を、パフォーマンスを落とさずに高速処理するためには、クラウドの無限に近いスケーラビリティを持った「SSE」のパワーがどうしても必要になったのです。

巧妙化するサイバー攻撃と「ゼロトラスト」へのシフト

標的型攻撃やランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃は年々巧妙化しており、「一度社内に入り込めば安全」という古い考え方は通用しなくなりました。

そこで重要になるのが、「誰も信用しない、常に検証する」というゼロトラストの思想です。

場所を問わず、あらゆるアクセスに対して一貫したポリシーで「認証・認可」と「脅威検知」を行い続けるための基盤として、クラウド上でリアルタイムに通信を監視できるSSEが不可欠となりました。

まとめ:ネットワークとセキュリティが融合する未来へ

SSEは、単に「セキュリティ機器をクラウドに丸投げして楽をするためのツール」ではありません。

場所を問わない働き方(ハイブリッドワーク)と、限界のないクラウド(SaaS)の恩恵を、企業が安全に享受するための「新しい時代のセキュリティインフラ」です。

これまでのオンプレプロキシやファイアウォールを運用してきた経験や知識は、そのままSSE(ZscalerやCisco Secure Accessなど)の設計・ポリシー運用に活かすことができます

そして、この「セキュリティのクラウド化(SSE)」と、前回解説した「足回りの最適化(SD-WAN)」が1つに融合したとき、本当の意味でのSASE(Secure Access Service Edge)が完成します。

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管理人
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自称SASEエンジニアです。 2児の父親をやりながら、日々エンタープライズ向けの次世代ネットワークインフラと格闘しています。一日一投稿を目標に投稿頑張りますので、是非読んでください!
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